目は口ほどに物を言う。
いったいの男女関係というものは、初めのうちこそ生活の単調を子気味よく破ってくれもし、ほんのちょっとした微笑ましいエピソードくらいに見えるけれど、まっとうな人間―
ことにそれが優柔不断な思い切りの悪い人の場合だと、否が応でもだんだんに厄介千万な一大問題に変わって来て、とどのつまりは何とも身動きのならぬ状態に陥ってしまうものである。
といった事情は、度重なる経験のおかげで、それも全くもって苦い経験のおかげで、とうの昔に知り抜いていた。
なのにまた胸そそられる女性に出くわす段になると、せっかくの経験もどうやら記憶からずり落ちてしまって、ああ生きることだと思い、この世の一切実に他愛もない面白可笑しいものに見えてくる。